よい鍼灸院とは?

@地元で、評判の良い鍼灸院。たとえば「あそこへ行ったら治ったから、騙されたと思って行ってみろ」と、知り合いが勧める鍼灸院です。そこで治った人がいるということは、治す鍼灸院です。治った人が多ければ、治す鍼灸院です。しかし苦手な疾患もありますから、上手だから全般的にとはゆきません。疾患ごとに治せる鍼灸院を分類するといいですね。知っているところですが、婦人科疾患は上手なのに、ぎっくり腰は全く治せない鍼灸院もあります。どこで尋ねたらよいかですが、床屋や美容院で尋ねるといいでしょう。ほかには学校の運動クラブのコーチ、特にバレーボールが故障するので、お勧めです。床屋や美容院は、肩が凝りやすいので、たいてい様々な鍼灸院を知っています。バレーボールの監督は、生徒を治すため様々な鍼灸院を知っています。ほかには意外と看護婦さんが教えてくれたりします。変な話しですが、「あんた、それならばここの病院へ来るより、いいとこ教えてあげるわ」と言って紹介してくれます。お医者さんで紹介してくれる人は珍しいです。同僚しか紹介してくれません。やはり看護婦さんは病人の立場で、お医者さんは病院の立場で考えるのかも知れません。それ以外には、あまり鍼灸院に詳しい人がありません。情報を得るには、幅広く周りの人に相談するしかないですね。そうした話しを聞いた人が、良いところを教えてくれたりします。そうして自分は病気だと宣伝することです。ただし、これをやると宗教関係者が勧誘にやってくる恐れもあります。
 Aオートクレーブがあり、一人一人に刺鍼する前は、必ず手を水道で洗う鍼灸院。衛生観念が悪ければ、技術が良くても病気を染されかねません。使い捨ての鍼を使用していたとしても、ピンセットなど滅菌する必要のある器具があります。オートクレーブは高いので、使い捨て鍼にして消毒設備を持たない鍼灸院が多いですね。昔はオートクレーブを持たず、鍼を使い回していた鍼灸院がありました。それよりはマシですけど。
 B何回治療すればよいか尋ねてみて、平均治療回数を答えられる鍼灸院。その病気を完治させたことがあれば、だいたい何回通えば治癒するか判ります。たとえ十人しか治療したことがなくとも、その病気で治癒する平均回数を返答してくれます。もし何回通えばよいか答えなければ、その疾患を治療したことがないか、治療しても完治したことがないかのいずれかになります。ただチックや脳卒中、アトピーや坐骨神経痛の場合、原因や罹患してからの年数などによって、六回ぐらいで治るだろうと踏んでいたものが、その回数を過ぎても治らない場合もあります。まあ十回治療しても一向に改善しなければ、そこの治療方法では自分に効果がないと思って、他を当たってみることです。また職業によって、完治しても再び悪くなる場合もあります。三回で治る背中の凝りを「十年かかります」と言われた患者さんがあります。十年など、漢方薬ならともかく、即効性のある鍼治療ではあり得ないことです。せいぜい三ヶ月ですね。
 Cきちんと価格が表示されている鍼灸院。治療費が時価という鍼灸院もあります。鍼灸院は、値段が高いところもあるが、安いところもある。なぜ値段が違うか知ってますか? 鍼の値段は、使い捨てなら一本10円以下です。金鍼は一本千円もしますが、普通の鍼なら一本百円以下です。薬ならば、高い薬を使うので治療費が高くなることもありますが、鍼灸では高くしようがありません。これは自分で、自分の技術に値段を付けているのです。客観的なものではありません。中国に留学したから高くなるものでもありません。私見では、@大きな広告を出していれば、広告料がつくので高くなる。A一等地にあれば高くなる(ショバ代がかかりますから)。B家族がいれば高くなる(養わねばなりません)。C家賃が高ければ高くなる。D有名人なら高くなる。E自分の腕なら、高くても患者が来るから高くする。F患者が多すぎるので、減らすために高くする。などです。つまり料金が高いから、腕の良い鍼灸院だとは限らないのです。料金と技術は、全く関係がない。私も、技術が身に付くまでは、留学したり習ったりして開業しませんでした。開業したときは3000円でした。持ち家ならば料金を安くする傾向があります。ぎゃくに料金が決まっていない鍼灸院は、患者が少ない日には料金を吹っかけ、患者が多ければ普通の料金を取ったりしています。
 安い鍼灸院とは、@持ち家の鍼灸院だから、場所代がかからない。A家族がいない。B電話帳など、広告する気がない。C患者の懐具合を気にして。D金を儲ける気がない。最後の「金を儲ける気がない」というのは、一般の人から見れば信じられないことでしょうが、福祉関係者の中には結構あります。そうした人は、金を持っていないと言えば、タダで治療してくれます。もちろん北京堂はダメです。つまり料金の高低は、治療技術の良し悪しと全く関係がないのです。  でも料金が時によって違うというのは、何年経っても患者の数が安定してないことを意味します。それはだめな鍼灸院です。
 D電話してみて、キチンと応対してくれる。忙しい鍼灸院では、なかなか電話の時間がとれませんので、ハッキリした基準になりません。しかし、自分の症状に対して、キチンとした説明をしてくれる鍼灸院ならば、そこの医学知識はしっかりしているので、たぶん良い鍼灸院でしょう。
 E品物や薬物を売らない鍼灸院。自分の鍼灸技術では、治す自信がないので、布団や健康食品を勧めて治そうとする鍼灸院。ただし温灸とか、鍼灸に関係のある品物を販売する場合は、この限りではありません。
 F本のある鍼灸院。本が豊富にあるということは、それだけ鍼灸に対する知識が深いことを意味しています。だから技術もよいでしょう。しかし、鍼灸院によっては、本を盗まれることを嫌い、隠し持っている鍼灸院もあります。ですから当てにはなりませんが、目安になります。
 G兼業しない鍼灸院。今の時代、鍼灸だけで食ってゆくのは、なかなか難しいです。そこで保険を使った整骨鍼灸院とか、マッサージを中心にした鍼灸マッサージ院にします。そうすれば鍼灸でなくとも、アロマやマッサージで食べて行けるのです。裏を返せば、鍼灸の一枚看板で食っているところは、よっぽど技術のある鍼灸院だといえます。普通は食って行けませんから。
 H治療法の掲載されているホームページ。つまり北京堂ですね。現在の世はインフォームドコンセント、つまり納得医療の時代。治療法が説明されていて、それに共感できるから行こうという気も起きます。行っても何されるか判らない鍼灸院では、行く気も起きませんね。また治療理論が納得できなければ、治療して貰う気になれません。もっとも企業秘密もありますから、全ての治療法を公開するわけにも行きませんが、少なくとも治療法を納得してから出掛けたいものですね。治療法が理解できないのに、治療は受けられません。

 以上の基準に合致すれば、それは良い鍼灸院といえます。ただし、良い鍼灸院だとしても、その鍼灸師によって得意分野と苦手分野があります。だからぎっくり腰がよく治ったからといって、鬱病も治せるとは限らないのです。だから自分の疾患を治すことが上手な鍼灸院を捜すことが大切で、治る人が多いから全面的に腕がよいと思いこんではなりません。得意と不得意の見分け方ですが、まず自分の症状について説明を受け、3回ほど治療を受けてみることです。1回だけ治療を受けて、治らないから技術が悪いとするのは可愛そうです。1回目の治療は、お試し的なことが結構多く、「こう出たら病気がどう反撃してきたから、こう治療する」とか、ようす見のジャブだったりします。1回目に効果がなければ、2回目には一から考え直して方針を改めます。もし効果があれば、その治療を継続します。だから一回目の治療が全く効果がなければ、とうぜん二回目は別の方法に変えてきます。二回目の治療法で効果がなければ三回目の治療法を改めます。だから最低3回のチャンスは与えるべきです。3回ほど続けて治療しても効果がなければ、恐らく苦手分野なのでしょう。鍼灸院を代えるべきです。仏の顔も三度までと言いますから。まれに、全く効果がないのに何回も通ってくる患者さんもあります。患者さんに言わせると、「それ以上に悪くならないために通っている」との話しですが、鍼灸には良くなるか悪化するかしかなく、現状維持というのはあり得ないのです。良くなる場合は、鍼灸適応症で治療法が疾患と合致している場合。現状維持というのは、不適応症で、治療法が全く疾患に合っていない場合。一般的に慢性の病気、たとえば脊柱管狭窄症などでは徐々に進行してゆきますので、鍼をすると一時的には良くなりますが、また一週間もすると元の状態に戻ってしまいます。一見、良くなったり悪くなったりを繰り返しているので、現状維持しているようですが、実は徐々に進行しているのです。刺鍼によって一時的に足の血液循環が良くなったので、症状が治まったかのように見えますが、病巣である脊柱管には全く影響していません。だから変化がないように見えますが、徐々に悪化しているのです。鍼麻酔も同じです。一般に慢性疾患は、徐々に悪化して十年ぐらいでひどくなりますので、一年とかの短期間で見ると現状維持しているように見えるのです。しかし治療による効果の現れ方は、もっと早いのです。患者さんは、症状が治らない鍼灸院へは長く通いたがるのですが、治してくれる鍼灸院へは通いたがらないものです。ちょっと好転して痛みが消えると、完治させずに来なくなったりします。しかし治っているものならば、完治した後も2〜3回ほど治療して、再発しないように固めるべきです。3回ほど試すのでは短すぎると思ったら、せいぜい6回ですね。一般に三回で治るような疾患ならば、最初の治療で半分ぐらい治った感じがします。2〜3割りしか治ってないと感じられるようでしたら、慢性なので5回以上、ときには10回近くかかったりします。ただ鍼麻酔すると一般に3日ぐらいは痛みが消えますので、麻酔効果の切れた3日目の状態がどうだかで判断します。どうしても苦手だったりすると、鍼麻酔を使う人もありますから。たとえば私などは、生理痛を止めるとき、骨盤の後ろへ刺鍼してパルスを通電し、3日ぐらい生理痛を止めたりします。でも生理痛そのものは治ってないので、またいつか起こります。だから3回、あるいは6回ほど治療してみて、変化がなければ他で相談した方がいいです。一応、治る前の変化として、@すぐに痛みが消える(軽症)。A痛みが変わらないように思えるが、痛む場所が移動した(中度)。B治療したら、かえって痛みが増した(重症)。などの変化が現れます。こうした変化が現れたら、好転した証拠です。@のケースは患者さんが納得してくれますが、Aは患者さんを説得する必要があります。Bは患者さんを信用させて説得する必要があります。
 下手な鍼灸師は、かえって痛みが増した場合、好転反応だと思わず、おろおろしてしまうので、患者さんの信頼を失い、「こんな人に治療して貰って大丈夫だろうか?」と不信感を持ちます。そのときに上手に説得して、キチンと治してしまうことが、上手な鍼灸師と下手な鍼灸師の分かれ目になります。でも、痛みが増してきているのに、うまく説得することは、その地域で治してきたという実績がなければ難しいかも知れません。それを上手に来させるのがプロといえます。


 よい鍼灸院と思わせるが、まったく技術の良し悪しに関係がないこと。

 @地元で、評判の良かった鍼灸院。評判の良い鍼灸院と似ていますが、全く違います。患者さんに良く言われましたが、「広島なら、島根より良い鍼灸院が沢山あるでしょう」と聞いたところ、「確かに初代の頃は上手だったらしい。だけど2代目になって、技術はサッパリだ」と言われました。初代の評判が良いが、2代目に代わった鍼灸院。良い鍼灸院だと思っていったみたら、サッパリ効果がなかったという苦情も。
 A治療費が高い鍼灸院。値段が高ければ、効果もありそうですが、それは全く技術と関係がありません。いいものは高いという常識が、通用しない世界なのです。治療費は、ショバ代、生活費、必要経費などで決まるのです。たとえば、ある先生は、自分の講演料が一時間あたり幾らかで、その時間をとられるから治療料金を決めている節があります(一回三万円らしい)。場所が良いからかも(詳しくは言えないが)。また島根でも、三万円の入会費を取られるが、サッパリ効果のない鍼灸院も(治療費は一回ごと別に取られるらしい)。
 B看板の大きな鍼灸院。もちろん看板が小さいから、良い鍼灸院とは限りません。ただ、そこに鍼灸院があるよということを知らせるため、看板が大きいに越したことありません。しかし小さな看板は自信がなさそうな悪い鍼灸院、看板が大きければ自信があって良い鍼灸院と見られがちですが、なかには患者さんが多くて困るので小さな看板を出している鍼灸院もありますし、看板を出してない鍼灸院も(もぐりだから出してないところもある)。大きな看板は、開業したばかりの鍼灸院には使える手です。地元で売れてくると、看板がなくても人は来ますが、患者さんから「分かり易くしてくれ」と苦情が来ます。
 C電話帳などで大きく宣伝されている鍼灸院。冷静に考えれば、そんなことは技術と全く関係がありません。しかし一般人は電話帳を見て鍼灸院へゆくので、地図があった方がいいです。でも最近は電話帳など、ほとんど宣伝効果がありません。逆にいえば最近開業したばかりの鍼灸院は、使える手です。ちなみに、患者さんから「良い鍼灸院だと聞いて、行きたいのだが場所がわからん。地図ぐらい載せろ」との苦情も。広告費を多く使っているから上手な鍼灸院と考えるのは、甘いようです。
 D本や雑誌に載っている鍼灸院。この先生は、本や雑誌で紹介されていて、有名な先生だと誤解します。専門書ならともかく、一般書やバラエティに出ている先生は、まったく治療技術と関係がありません。そりゃあNHK教育番組の鍼灸教育番組に出演していたり、鍼灸の学術書を書いているような先生ならまだしも、雑誌やバラエティでは、まったく関係がありません。鍼灸学校生とか、鍼灸院のプロに知られているような先生ならば、そうひどい技術レベルとは思えませんが、雑誌やバラエティで広告や対談されていることは、本人の技術と全く一致しません。来院する患者数が多ければ、金を出してまで雑誌に載せて貰う必要もなく、むしろ自分の勉強用の本に金を使うようになります。また患者さんが多すぎれば、宣伝するよりも減らそうとするため、雑誌で対談してくれという話があっても、むしろ断ったりします。しかし都会のように口コミがない世界では、効果的な宣伝方法だと思います。金払った価値があるかも。ちなみに東京北京堂の患者さんには、地方の島根県と違い、そうした本に載っている鍼灸院へ行ってみたという患者さんが結構来ます。そして「神の手」と記載されていたから、治ると思っていってみたら、全然効果がなかったという話しを聞かされます。どっちかというと苦情ですが。考えてみれば、そこへ行って治った患者さんは、自分の知り合いになら教えるかも知れませんが、わざわざ出版社にまで教えに行くはずないですものね。治して貰えると思って、けっこう遠方から行ってみたけど、まったく効果がなかったという苦情が患者さんから寄せられています。もっとも、遠方から北京堂へ尋ねてきたが、まったく効果がなかったと思っている患者さんもいるはずです。そうした声は、メディアには反映されませんのであしからず。もし本当に雑誌で記事として扱っているのなら、ここの鍼灸院は良かったという記事だけでなく、中国の消費者センター広告のように「ここの商品は推奨しません」というのがあっても良いと思います。
 Eインターネットで上位に引っかかる鍼灸院。自分の鍼灸院をアチコチに登録していれば、そこからのリンクが多くなるため上位に引っかかります。リンクが多ければ、検索ロボットが重要なページだから誰もがリンクしているのだろうと考え、上位にランクします。しかし鍼灸院の技術とは全く関係がありません。うちは古文をアップしているためリンクしているホームページが多く、それで上位に来ているだけです。都会のように口コミがなく、インターネットの発達した場所なら効果がありました。島根のようにADSLのない地域では、パソコンが使える人がいないので、効果の望めない方法です。逆にいえばインターネットで上位に引っかかりたければ、自分のホームページをアチコチへリンクして回ったり、相互リンクを増やせばよいのです。そうすればホームページのリンク数が多いので、上位に引っかかります。ホームページで、某鍼灸院が上位なので行ってみたが、全く効果がなかったという患者さんの声があります。なかには北京堂の治療ベッドでも、患者さんどうしが「あそこへ行ってみたけど、ぜんぜん効果がなかった」とか、「そこは私も行きましたが、まったく効果なかったですねぇ」という会話が。また「北京堂のホームページに書かれていた鍼灸院、あそこ私も行ってみました。やはりひどい所でした」と言う患者さんも。鉾先が北京堂に向かってきて「どうして治りもしない鍼灸院が、上位に来たり、トップランキングされるのですか?」という質問も。そんなこと私に言われても……、恐らく知り合いに頼んで書いて貰っているのではないでしょうか?と答えるのみ。私も一人だけ頼みました。中野区の人に。「治った暁には、中野区の北京堂にコメントをつけてください」と。でもパソコン苦手そうな奥さんだからダメかも(書いて貰えました。でもカキコしたあと完治してしまったので、もう来ませんが。そのコメントはココにあります)。患者さんは、自分が治っても治らなくとも、こうしてワザワザ頼まなければ、インターネットで治療所の評価なんて面倒くさいものは書かないのです。書くはずのないホームページに対する感想を、患者さんが書いたと信用して行けば、治らなくてもしかたありません。でも、これは使える手です。だからホームページにはBBSを付けましょう。ただし、毎日管理していなければ、出会い系サイトの書き込みオンパレードとなってしまいます。そうなったら信用ガタ落ち。だからBBSが出会い系サイト書き込みオンパレードであっても、それは鍼灸院が悪いのではなく、たんにズボラなだけです。変な鍼灸院とは限りません。
 F年賀状など、挨拶状をキチンと出してくれる鍼灸院。うれしいですけど、鍼灸の実力とは全く関係がありません。でも気にかけてくれているかも。技術はともかく、人情味のある鍼灸院と思わせるためには効果的です。開業したばかりの鍼灸院は、実行してみると良いかも。
 Gあちこちに広告のある鍼灸院。これも鍼灸の技術とは全く関係がないのですが、よい鍼灸院のように思えます。広告が出せるだけ儲かっている鍼灸院なら、技術も高いだろうと思わせられます。自己資金が豊富ならば、試してみる価値があると思います。田舎ではバス広告しても効果なしでした。
 H患者さんから喜びの声が掲載されている鍼灸院。これは、そんなに患者さんから喜びの便りが掲載されているホームページならば、自分も治してくれそうな気がしますが、やはり信頼性に欠けます。一つには、それを書いた人と連絡がとれないこと。二つには、治療を受けても治らなかった人は、喜びの声を掲載しないこと。三つめには、その鍼灸院が、架空の名前で「喜びの声」を書いている可能性があること。しかし、こうした手法は効果的と思われるので、同級生やイトコの名前を借りて、「どこへ行っても治らなかった難病が、××鍼灸院へ来たら治りました。本当にありがとうございます」という文章をホームページに載せることは、かなり効果的な方法と思われます。私の後輩も、自分の患者さんに、上のような色紙を書かせていますが、それは本当に書いて貰ったもので、筆跡が違います。でもインターネットなら筆跡が判りません。開業したての鍼灸院は、是非とも使ってみたい手口です。
 I治療例が掲載されている鍼灸院。治療法の掲載されているホームページと似ていますが、似て非なるものです。文革時代は、中国の鍼灸は非常に高い治癒率を示していました。しかし、文革が終わってみると、同じ治療法を試しているのに関わらず、そんなに高い治癒率がありませんでした。つまり治癒率の再現性がなかったので、現代中国では「文革時代の鍼灸の治療データは、全く信頼性に乏しい」と評価されています。つまり、たまたま成功した例を取り上げているのであって、全体からの治癒率は10パーセントなのか90パーセントなのか、全く判断できません。しかし、この手法は使えます。開業したばかりの鍼灸院は、各疾患で一番劇的に治癒した例を、治療例として取り上げましょう。自分も、その一例になりたいと思って、やってくる患者さんもあるからです。たとえば、うちの患者さんで、網膜浮腫で眼科へ通っていた人がありました。なかなか治らないので相談を受け、眼窩内刺鍼をしました。それで一発で良くなったのです。後で検査しに行った眼科で、眼科医が「この薬で良くなるとは、あなたは珍しいですねぇ」と言われたそうです。それを聞いて、彼女は非常に腹を立てました。効かない薬を処方されていたのだと。それで「あんたの薬で治ったんじゃないわい。鍼で治ったんだ」と思ったそうです。でも眼科医は、自分の薬で治ったと思いますから、治療成功例として加えるでしょう。患者さんは、鍼灸だけに通っているとは限らず、他の治療も併用しているかも知れません。本当に自分の治療で治ったならば、他の患者さんでも再現性があるはずです。たまたまの成功例か、同じ症状の患者全員に当てはまるのかは、全く違います。
 J患者さんの多い鍼灸院。流行っている鍼灸院だから、技術も良いと思いがちですが、そうでもありません。患者さんに、次回の予約を取らせるのです。できることなら予約券を作るのです。義理堅い患者さんは、治っても治らなくとも、予約を入れた日にやって来ます。だから経営も安定しますし、患者さんが詰まっているので、腕がよいから繁盛しているのだと思われます。こうして固定客にしてしまうのです。患者さんからすると、最初に「次は何日に来てください」と言われれば、ああ、その日に来なくてはならないのだなと思います。実は、鍼灸院は歯医者さんと違い、一発で治す鍼灸院が相当数あるのです。ですが、そうした腕の良い鍼灸院は、概して良心的で、なまじっか「自分は一発で治せる」という自信を持っていたり、プライドがあるので、次の予約を取りません。しかし、本当に技術があり、口コミで患者さんがやってくるので患者の多い鍼灸院もあります。そうした鍼灸院も、やはり次回の予約を取りません。新しい患者さんが、連鎖反応のようにやってくるからです。そうなるまでには腕が良くても、年月がかかります。その見分け方は、通う回数です。延々と百回、二百回と通わせる鍼灸院は、治せない鍼灸院です。だから患者さんの数が多く、いつも込み合ってはいるものの、患者さんの顔ぶれは常に同じ。同じ人しか来てない。つまり常に新しい患者さんが来ているかどうかが判断の分かれ目になります。もう一つの方法は、最初に来た患者さんに、回数券を売りつけるのです。そうすれば患者さんは、もったいないから効果のあるなしに関わらず、必ず回数券を使い切ろうとします。すると一人の患者さんが複数回来るので、患者の多い流行っている鍼灸院だと思われます。
 K先生の肩書きが多い。これも技術とは全く関係がありませんが、日本人は肩書きに弱いので、肩書きがあれば偉いと誤解されます。偉ければ技術も高いだろうと思われます。ところが肩書きは、本人の治療技術と全く関係がないのです。経歴なども同じですね。こうした肩書きは、宣伝すると広告違反になりますので、インターネットのホームページに載せたり、パンフレットにしたり、治療室に飾ったりします。後輩なども北京中医薬大学で講師をしていたなど、肩書きを治療室に飾っています。そして、いろいろな中国の先生と一緒に写った写真を飾っています。上海へ行ったときは、李鼎先生と一緒に写真を撮り、写真も治療所に飾っています。しかし、そうした写真や肩書きは、治療技術とは全く関係がないものなのです。彼のような肩書きは、中国へ留学でもしなければ無理でしょうが、鍼灸師会など、何かの鍼灸団体へ入り、そこの世話役になれば、役員の肩書きが手に入ります。開業したての鍼灸院には、治療室に肩書きの紙を飾ったり、中国へ旅行して治療家と一緒に撮った写真を引き伸ばして掛けておけば、肩書きの替わりになり、「この先生は、そんな有名な先生とも交流があるのだ」と思ってくれます。また大学教授と書いた賞状を売ってくれる企業もありますので、そうした会社に「鍼灸博士」と申し込んで10万円ほど払えば賞状を送ってくれます。アメリカですけど。ちなみに、これは笑えます。ちなみに私にも送られてきました。内容は「自分を××博士と認定する」というもの。あとは金払うだけ。鍼なんて、北京中医か中国の中医葯大学の認定書なら兎も角、アフリカやアメリカの後進国の認定書など意味がないんじゃ。鍼灸師でなくとも鍼灸や漢方のオーソリティになれちゃう。少なくとも中国のであれば、金を払ったかも知れないのに……。
 L中医と付いている鍼灸院。中国留学していた私が、こうしたことを書くと非難を浴びそうですが、中医とあるから技術のある鍼灸院とは限りません。中医と言っても、その技術はピンからキリまでです。同じように中国人が開いている鍼灸院だといっても、技術が高いとは限りません。というのも、私が留学していたのは1988年頃ですが、その当時でも優秀な鍼灸の先生は、どんどんとアメリカに引き抜かれてゆき、残っている先生は、お年を召したために技術があっても外国へ行けないか、レベルが低くてアメリカが欲しがらないかのいずれかでした。逆に言えば、88年より以前なら優秀な先生がいた可能性があります。ところが日本で開業している中国人の先生で、中国本国で本を出している先生は見たことがありません。一人だけ、戴昭于に会ったとき、「あなたの本を持ってます」と言ったら、「あの本ですか。私はタダの編集員ですから」と返事があっただけです。つまり日本で開業している先生の大部分は、本国中国で無名の先生。考えてみれば、優れた技術を持った人を、中国が海外で生活させるワケないですよね。だから日本の開業者のレベルを知りようがないですね。医と付いているので、いかにも技術レベルが高そうですが。辨証とか中医とか難しそうな単語が並んでいると、何となく奥義を身につけた技術の高い人というイメージがありますが、そうしたことと技術レベルは、全く関係がありません。ただし、中医かどうかはともかくとして、中国語のできる鍼灸師のほうが学ぶ上では有利と思います。それは中国語ができれば、鍼灸治療に関する世界最先端の情報が入手できるからです。私が中医学院へ行って得た、最も大きな武器は中国語でした。でも喋れるだけで、本を大量に読まなければ無意味です。

 このなかで@は先代がいなければ無理です。Aは効果に疑問があります。B以降は使えそうです。Fは相当な経費がかかり、Dも税金の広告費で落とせますが、経費がかかります。BEFHIJKLは、あまり経費がかからず、効果の大きい方法です。開業したばかりの鍼灸院は、取り入れると良いでしょう。
 北京堂は、最初にチラシ広告をしただけで、あとは何もしませんでした。患者さんから「看板を作れ」とか、「電話帳に載せろ」などの苦情があり、「判りました、済みません」で、やりはじめたようなお粗末な次第。

 悪い鍼灸院
 アホらしいので載せたくないのですが。患者さんの苦情では、鍼を刺されたら気胸が起きた。鍼を刺されたら死んだ。化膿した。肝炎になった。などがあります。解剖を勉強していなかったり、消毒を勉強していなければ起こります。あと、「資料にすると言われ、裸にされて写真を撮られる」などという苦情もメールで寄せられています。「治療しないで30万円の布団を売りつけられそうになり、次に行ったら布団を15万円に値下げすると言われた」とか。また「ホームページと値段が違う」とか、行ったら「何回通えるか」をまず尋ねる、「幾ら払えるか」と聞いてくる。週に三回は来るよう約束させるとか。まあ三回も治療すれば、大概の病気は良くなりますわな。

 手軽な鍼灸院の探し方
 患者が来ないから悪い鍼灸院とは限りません。開業したばかりで、まだ技術レベルが知れ渡っていないだけかも知れません。しかし、良い鍼灸院と思わせる方法を使って、早めに宣伝すべきです。良い鍼灸院とは、地元で「患者を治す」と、口コミの評判がよい鍼灸院に尽きます。それが一番重要なポイントです。現在のところ客観的な評価機関などありません。ですから知り合いが、短期間で治ったかどうかです。これが一番の評価ポイントです。
 そうは言ってもインターネット時代、北京堂にもネットで来る患者さんが多いです。はっきり言えば、インターネットを使ったって、よい治療院など探せません。そもそも評価してあったり、ランキングされていても、どんな人が評価したりランキングしているか全く判らないからです。それが東京に来て、患者さんの話しを聞いているうちに判りました。メディアやネットの評価など、全く当てにならないことが。理由は、そこへ行って治らなくても、「行ったけど治らなかった」などとネットに書くような患者さんなど、ほとんどいないからです。評価するのは、すべて治療所の関係者ですから悪いことなど書くはずがありません。データもキチンとした機関が公正に判定したものではないので、信用性がありません。そこで良いか悪いかはともかく、その鍼灸院の行っている治療方法が、自分の納得できる治療をしてくれるかどうかで判断するしかありません。その治療法を納得して行ったのだから、治らなくても判断した自分の責任です。
 だから治らなかった場合に、文句を誰に言うかですね。知り合いならば、紹介してくれた知り合いに文句を言うしかないですね。自分で納得して判断したものならば、自分の頭の悪さを責めるしかないですね。治らなかった場合に、誰に責任をとらせるか、どういう形で責任をとらせるかを考えれば良いと思います。
 ちなみに私が鍼灸学校にいた時代は、のどかな時代で、エイズもなく、肝炎などもやかましくなかったです。先生に、「どうして鍼で治るのですか?」と質問すると、「それは、鍼でバイ菌を刺し殺しているから治るのだ」と、非常に適当な回答があり、「鍼を消毒しなくて大丈夫なんですか?」と質問すると、「鍼を刺すときの摩擦熱で、鍼が消毒される」との明確な回答が返ってきました。その先生は、お亡くなりになったので、寂しい限りです。消毒してない鍼を打たれましたが(瀉法針)、運良く感染しませんでした。学生時代の怖い思い出です。
 あと最近の話しなんですが、愛知から来る患者さんに「胃は揚げるけど、背中がガチガチに凝っているので、近くの鍼灸院で背中を治してくれるところを捜してください」と言いました。本人用の鍼も持たせて返したのです。で、二回目の治療で、臍まで上がった胃を、さらに揚げようとしたのですが、背中がガチガチです。「背中がガチガチなので、これも治さねばなりません」というと、本人は「愛知で鍼治療を受けてきたので、治っていると思う」と仰るのです。ところが触ってみるとゴリゴリしている。本人は「二ヶ月も鍼治療したのに」というのです。うちならば3〜4回もすれば、背中の凝りなどほぐれるのに、いったいどんな鍼をしたのだと思いました。一般に、何人か治療した経験のある鍼灸師ならば、鍼を入れたときに、その硬さで「何回ぐらいで緩むかな」と判ります。また、三回も治療すれば、その病気が自分で治せるものか治せないものか判ります。だから一回目の治療が終わったときに「自分の症状ならば、平均して何回で治りそうですか?」と治療者に、自分の症状の平均治療回数を尋ねてみることです。たかが背中の凝りを解消するのに「十年かかる」と言われた患者さんがあるそうです。そのような症状など、痛くて触れない患者さんでも六回治療すれば完治します。だいたい十回以上もかかるようならば、それは鍼の治療効果ではなくて、自然に治癒したのです。治療して、その治療が有効ならば、少なくとも三回ぐらいで改善します。なかには自分には治す能力がないが、「私には治せません」というと、患者さんがガックリしてしまうのではないかと心配して治療を続けている良心的な場合もあります。「十年かかる」とは、私には治せませんよと言っているのです。希望を失わせないために「十年かかる」と言っているだけなのです。十年もあれば、あるいは治せる治療所を患者さんが探してくれるかも知れません。世の中は、インフォームドコンセントとか、納得治療とか呼ばれていますが、患者さんが治療者に質問することを怖がっている嫌いがあります。質問して答えられず、ぎゃくに怒るような人ならば、サッサと逃げ出すべきです。治療に必要な知識もないのですから。

 最後に
  某整体で、仙骨の下に板を入れられ、両側の腸骨稜を思い切り押され、仙腸関節がバラバラにされ、骨盤分解で歩けなくなり、鉄板で骨盤を留めてある患者さんが来ました。鍼である程度は改善しましたが、ちょっと家庭崩壊のようになってしまっていました。そのように骨までバラバラにされてしまうと、さすがの鍼でも治せないので、注意ししましょう。この患者さんは後日「自分は鉄板でなく、チタンの板だ」と苦情メールがありました。どうも、すいません。
  ちなみに鍼灸院に対する評価は、2チャンネルで書かれていると患者さんが教えてくれました。2チャンネルは、どこを見たらいいのか判らないので、あまり行ったことがありませんが。

                       北京堂鍼灸ホーム