中国の鍼灸良書

  『疼痛針灸治療学』、何広新/曲延華著、学苑出版社2002年、100元、680ページ。
  内容紹介:上、中、下に分かれており、上編は、感覚受容器と中枢神経、痛みの学説、痛み症候群と治療理論。中編は、経絡学にあるような経絡と経筋、穴位の分類,性質,作用、奇穴の部位と主治、穴位性質の分類。鍼,灸,電気鍼,刺絡,火鍼,耳鍼,腹鍼,穴位注射、鍼刺運動療法を始めとする治療法,対穴療法などが書かれている。下編は、さまざまな疼痛に対する具体的な治療法が述べられている。
 現代中国鍼灸の本であり、中西結合の鍼灸専門書といえる。現代中国では、現代医学の理論と、鍼灸大成や鍼灸聚英などの伝統鍼灸を融合させているが、それが最もハッキリと解説された本。専門家向け。ドッシリしているので、鍼灸院の飾りとしても最適。日本人は漢字が読めるので、それほど苦労なく読めると思う。


 『針灸学現代研究与応用』、郭長青/張莉/馬恵芳著、学苑出版社1998年、276元、上下二分冊。関係ないけど母校の良書。教科書の内容だけでなく、さまざまな治療法が述べられている。特に下巻の治療編では、難病/急病のように、刺入深度、置鍼時間、治療クール、治療回数が示され、それに対する有効率がパーセントで示されている。我が校の自慢できる一冊。間違い指摘、不足な部分、意見を書く手紙つき。経絡についてかなり詳しい。
  内容紹介:上巻は、捻転補瀉、古典における取穴原則、経絡、経穴と臓腑、経穴の臨床応用、奇穴の臨床応用と図、毫鍼の操作方法、長鍼を使った透刺の主治、蟒鍼の刺鍼法、過梁鍼、灸頭鍼、電気鍼、さまざまな鍼や治療法の習得が解説されている。下巻は、鍼を使わない電極治療。イオン導入法があるが、実際の効果が今一つ解らなかった。それによると酢を陰極で局部へと引っ張り、酢によって骨を溶かして、骨増殖による神経圧迫を治療するとあった。なるほどね。母校の先生方に、初めてイオン導入法の効果的な適応症を教えられた感じ。さらに磁石、マイクロ波、レーザー、超音波、赤外線、紫外線、冷却、青色レーザー、吸玉、天灸、刺絡などについて述べられ、特に鍼麻酔が詳しく解説されている。これを読めば、誰でも最新の鍼麻酔ができる。治療編では、刺入深度、置鍼時間、治療クール、治療回数が示され、それに対する有効率がパーセントで示されている。有効率が示されていなければ、どれだけ効果があるのか目安がない。そして子午流注と続き、最後に赤羽幸兵衛など、日本の鍼灸研究について、かなり詳しく解説されている。『医道の日本』も、かなり引用されている。母校が出した本の中では、今のところ最高かな? 上海にも勝てるよ!

 『中国針灸・対穴療法』、陳徳成/王慶文著、吉林科学技術出版社1998年、45元、576ページ。 二穴だけを使って治療しようという本。治療マニュアル的な書物。私の『難病の鍼灸治療』に似ている。目次は、ショック、高熱、呼吸停止、急性腹痛、急性一酸化炭素中毒、失神、おたふく風邪、百日咳、流行性脳炎の予防、急性細菌性赤痢、ウイルス性肝炎、レプトスピラ症、日本脳炎の後遺症、脳膜炎の後遺症、流行性出血熱の回復期、マラリア、動悸、不整脈、リウマチ性心疾患に伴う心痛、冠動脈の心痛、心筋梗塞、高血圧、低血圧、インフルエンザ、上気道感染、咳、気管支炎、気管支拡張症、喘息、喀血、大葉性肺炎、急性食道炎、しゃっくり、胃痛、胃痙攣、胃下垂、嘔吐、腹痛、胃腸神経症、噴門痙攣、胃軸捻症、過敏性大腸症候群、急性胃炎、ゲップ、下痢、胃十二指腸潰瘍、便秘、腹部膨満、急性腹膜炎、胸痛、脇痛、肝臓癌、尿貯留、尿失禁、排尿障害、尿液異常、尿路感染、膀胱炎、糸球体腎炎、成年の遺尿、腰痛、インポ、遺精、無精子症、勃起不全、陰茎萎縮、神経性頭痛、三叉神経痛、顔面神経麻痺、チック、眼窩上神経痛、大後頭神経痛、閉鎖神経痛、腕神経叢痛、肋間神経痛、坐骨神経痛、末梢神経炎、橈骨神経麻痺、大腿外側皮神経炎、腓腹筋痙攣、腓骨神経麻痺、痙性斜頸、脳卒中、小舞踏病、癲癇、ナルコレプシー、嗜眠、眩暈、頭痛、片頭痛、多汗症、無汗症、脊髄空洞症、重症筋無力症、ギランバレー症候群、テタニー、書痙、指先の痺れ、小脳萎縮、半身不随、脳震盪、失語症、統合失調症、躁病、ヒステリー、神経衰弱、抑鬱病、ノイローゼ、ヒステリー、不眠、奔豚気、本態性血小板減少、アレルギー性紫斑病、麦角アレルギー、チアノーゼ、痛み、リウマチ性関節炎、糖尿病、化学療法による白血球減少症、副腎皮質機能低下、微熱、ベーチェット病、炎症性浸潤、急性人差し指感染、鼠径リンパ節炎、胆嚢炎、胆石症、胆疝痛、胆道寄生虫症、食道憩室、胃軸捻、虫垂炎、腸痙攣、回虫性腸閉塞、胆道手術後症候群、腹部手術後腸麻痺、腹部手術後腸無排気、単純性甲状腺腫、乳腺炎、乳腺房増殖、男性乳腺房増殖、尿管結石、腎臓結石、腎下垂、腎疝痛、慢性前立腺炎、前立腺肥大、精索捻転、……と、この倍以上の疾患、泌尿生殖、損傷性疾患、疼痛性疾患、その他疾患、整形関係の疾患、肛門科疾患、婦人科産婦人科疾患、小児科疾患、耳鼻咽喉科、眼科、皮膚科、老人性疾患、禁煙や禁酒、手術麻酔、身体に対する影響などが書かれている。ほとんど2穴のみを取り、それぞれ治療例を挙げている。414の疾患や手術に対する治療法、そして13項目に及ぶ身体への影響を書いている。 

 『影像断層解剖学』張雪林著、人民衛生出版社、2000年、100元。
 内容:頭部を含め、男女の体幹部のスライス写真137枚、そして手足の関節部分を中心に15枚のカラー写真がある。体幹部は、頭部、体幹部と分かれており、それぞれの写真について詳しい断面図の位置が図で示してある。体幹部では、横断面、冠状面、矢状面の断面写真と断面図があり、手足の関節部分は冠状面と矢状面のスライス写真と、詳しい横断面図がある。体幹部へ安全に深刺するには、この本を持ってないと事故を起こすという本。お勧め度は五星。

 『人体断面解剖学与医学影像学図譜』楚憲襄/楚天驕訳、河南科学技術出版社、2002年、86元。
 内容:人体の168枚のカラー横断面写真と、CT、MRI画像が付記されている。写真に筋肉や血管の名前が解説されている。写真がカラーで見やすいが、アメリカの訳本であるため、写真サンプルが白人で、黄色人と多少異なること、そしてケージが記載されてないので、寸法が判らない欠点がある。白人の輪切りは、こうなっているのだと観察するにはいいかも。

 『断面解剖与MRI・CT・ECT対照図譜』姜樹学/馬述盛著、遼寧科学技術出版社、1998年、198元。
 内容:私の持っているのは2001年の3刷版。頭から体幹部の横断面、冠状面、矢状面のカラー断面写真157枚、そして頭では脳血流図つき。もちろん各輪切り写真には、MRIとCTの白黒写真がついている。手足の断面カラー写真は25枚。残念ながらケージなし。

 『医用解剖学標本彩色図譜』初国良/汪華僑著、北京科学技術出版社、2003年、138元。
 内容:人体の断面カラー写真だけでなく、手足では縦の筋肉ごとに解剖してある。普通の解剖書+体幹部の断面写真、MRI・CTなどがある。VCD付きで、パソコンで見れるので、全体的な感じを掴むには良いが、断面写真が小さい。写真が数え切れないほど多い。値段の割に、お買い得な本。

 『中医病案規範書写手冊』王永炎著、湖南科学技術出版社、2001年、18元。
 内容:カルテの記載方法を示した本。付録として、中医病名と西医病名が対比させてあり、中医の病名を、これは現代では何の病名に相当するのか調べることが出来る。こうした本は、珍しい。

 『新穴奇穴図譜』王富春ら著、科学技術文献出版社、1999年、42元。
 内容:奇穴、新穴の順で、800近い奇穴や新穴を集めている。中国の鍼灸書を読むために必要な書籍。 

 『針法灸法図解』藺雲桂著、福建科学技術出版社、1998年、39元。
 内容:得気感や手感、どういう組織に当たったときに、鍼を持つ手に、どんな感覚があるか。また基本的な操作方法などが書かれている。特に赤鳳揺頭と白虎揺頭について、今までになかった見解を示している。今までになかったほど、操作方法を詳しく解説している。さらに現代各家の手技では、死人の承淡安、任作田、陸痩燕、鄭魁山、楊甲山など22人の手法を紹介し、電気鍼、電熱鍼、電気火鍼など、15種類にわたる鍼の操作方法が記載されている。さらに百会、太陽、翳風、風池など、56の要穴の断面図を解説し、そこにある血管や筋肉を網羅して、どの方向、どの深さで、どんな鍼感が得られて、その鍼感がいかなる病気を治療するかが記載されている。鍼手法の本では、もっとも実用的と思える本。著者の藺雲桂は、以前に経絡の本なども出しているが、今度の本は本物。以前の恥を払拭している。ただ人相が悪い。数ある刺鍼手技の本で、ピカ一の本と思う。飾りにもなる。

 『中国針灸大辞典』張大千著、北京体育学院出版社、1988年。27元。
 内容:恐らく時代を問わず売れる辞書。鍼灸関係の辞書ではピカ一。恐らく鍼灸関係の留学者なら、誰でも持っている辞書なので、いまさら内容を述べない。

 『針灸鎮痛・機制与臨床』張吉著、人民衛生出版社、2002年、48元。
 内容:各臓腑経絡と疼痛の関係。疼痛治療に使われる経穴、神経と痛みの関係、皮膚や筋肉と痛みの関係、神経伝達物質と痛みの関係、神経ペプチドと痛みの関係、痛みと神経生理学、刺鍼による鎮痛メカニズムとあり、下編は、さまざまな痛みに対する鍼灸治療法が記載されている。

 以上は、東京に持ってきた本のうち、大版で飾りにもなり、現在でも手に入れることが出来て、実用的な本の内容を紹介しました。ほかにも良書がありますが、1997年以前の本は、中国でも地方の書店へ行かなければ入手困難なため割愛しました。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            

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