清朝銭年表(天命〜道光)

 中国清朝の貨幣は広い国土のあちこちで鋳造されていますが、何処の鋳銭局は何時から鋳銭を初めたのかなどの資料を持っていませんでした。雄山閣出版(株)から昭和4年に発行された三上香哉著・考古学講座第11巻貨幣を図書館で借りることができました。この本は前編372ページ、後編379ページに渡る中国の貨幣の歴史全般に対する詳しい著作です。清朝銭については「制銭通考」と言う咸豊年間に中国で発行された本に氏の検討の結果を加味して書かれていています。ただ、「制銭通考」自体が天命銭から道光通寳までの記述しかなく、三上氏もそれ以降の史料を持っていなかったため、咸豊以降については詳しくありません。何れにしても、その記述から清朝銭の稀少銭言われる穴銭がなぜ稀少なのかが鋳銭の期間の長さなどから伺い知れますので、年表にまとめてみました。この年表は他の資料をあたったわけでもなく、また、「貨幣」自体に誤植もあり(気付いた点は直しました)、誤っている点が含まれているかも知れませんが、何かの参考になるとは思いますので、ここに示させて頂きます。順次訂正を行っていきますが、間違い、その他の点に気がつかれましたら、飯田へのメールでお知らせ願えれば幸いです。

西暦 年号 事項 備考
1616年 萬暦44年 天命銭発行
1644年 順治元年 順治通寳発行(一匁)
戸部宝泉局、工部宝源局
河南、陝西、臨清、宣府、薊州、延綏鎮局で鋳銭(右河、右陝、右臨、右宣、右薊、左延)
大順国
永昌元年
李自成西安で「永昌通寳」鋳造
大西国
大順元年
張献忠成都で「大順通寳」鋳造
1645年 順治2年 山西太原、山西大同、密雲で鋳銭(右原、右同、右云)
南明福王
弘光元年
南明福王南京で「弘光通寳」鋳造
南明唐王
隆武元年
南明唐王福州で「隆武通寳」鋳造
1646年 順治3年 湖広荆 州鎮で鋳銭(右荆 )
監国
南明魯王
南明魯王紹興で「大明通寳」鋳造
1647年 順治4年 盛京、江西、広東、常徳、甘粛で鋳銭(右昌、右寧、右廣) 盛京、常徳未見
南明
永歴元年
南明永明王肇慶で「永歴通寳」鋳造

興朝元年
秦孫可望雲南で「興朝通寳」鋳造
1648年 順治5年 延綏鎮局、盛京局停止。江寧で鋳銭(右江)
1649年 順治6年 常徳局停止。浙江、山東、福建で鋳銭(右浙、右東、右福)。大同局を陽和鎮へ移動(右陽)
1650年 順治7年 武昌、襄陽で鋳銭(右襄) 武昌未見
1651年 順治8年 各局で背上漢字鋳銭(重一匁二部五厘)
明銭の流通禁止
武昌未見
1652年 順治9年 襄陽局停止。鄖陽局開鋳 鄖陽未見
1653年 順治10年 各局で背右漢字左一厘鋳銭(戸、工、江、浙、武、福、東、臨、原、陽、宣、薊、昌、陝、寧) 武昌未見
1656年 順治13年 陽和局を大同に移動(同一厘)
1657年 順治14年 各省での鋳銭禁止。戸部宝泉局で満字宝泉を鋳銭(一匁四分)
1660年 順治17年 雲南で鋳銭(雲一厘)。工部宝源局で満字宝源を鋳銭(一匁四分)
各局で背満漢字を鋳銭(江、浙、東、臨、原、宣、薊、河、昌、陝、寧、同)
1661年 順治18年 各局で康熈通寳を鋳銭 湖廣、荆 州、武昌、
鄖陽、密雲局未見
1662年 康熈元年 各省で鋳停、戸部宝泉局、江寧宝江局の2ヶ所のみで鋳銭
1667年 康熈6年 各局で鋳銭。蘇州、湖南、鞏昌、広東、広西、四川、貴州で鋳銭(蘇、南、鞏、廣、桂、川、貴) 鞏、川、貴未見
1670年 康熈9年 江寧、蘇州、江西、湖広、福建、山東、山西、河南、陝西、甘粛、四川、広東、広西、雲南、貴州で停鋳
1671年 康熈10年 蘇、密、宣の三鎮で停鋳
1673年   周呉三桂昆明で「利用通寳」鋳造
1674年 康熈13年 浙江局廃止
裕民元年 靖南王耿精忠福建、浙江で「裕民通寳」鋳造
1675年 康熈14年 臨清局閉鎖
1678年
昭武元年
周呉三桂雲南、貴州などで「昭武通寳」鋳造
1679年 康熈18年 湖広で鋳銭再開

洪化元年
周呉世播「洪化通寳」鋳造
1680年 康熈19年 漳州府で鋳銭
1682年 康熈21年 漳州府で鋳銭停止
1684年 康熈23年 一匁四分を一匁に変更
1686年 康熈25年 湖北、湖南、肇慶、雲南で鋳銭 湖北、肇慶未見
1687年 康熈26年 肇慶局停止
1688年 康熈27年 台湾で鋳銭
1689年 康熈28年 雲南各局停止
1692年 康熈31年 広東、台湾局停止
1695年 康熈34年 広東局再開
福建局停止
1696年 康熈35年 浙江局再開
1698年 康熈37年 広東、浙江局停止
1700年 康熈39年 湖北、湖南停止
1702年 康熈41年 重量を一匁四分と七分の2種に変更。戸部宝泉局、工部宝源局、江寧宝江局、浙江宝浙局、福建宝福局、山東宝東局、臨清宝臨局、太原宝原局、宣府宝宣局、薊州宝薊局、河南宝河局、陝西宝陝局、寧夏宝寧局、大同宝同局、雲南宝雲局、蘇州宝蘇局、湖南宝南局、広東宝東局、広西宝桂局、漳州宝漳局、台湾宝台局の22局で鋳銭
1713年 康熈52年 3月一匁の臣康熈を萬寿節に発行 三上説
1722年 康熈61年 雍正通寳を鋳銭。重量は一匁四分と七分の2種。宝泉、宝源、宝浙、宝武、宝福、宝河、宝昌、宝雲、宝蘇、宝南、宝広、宝陝、宝台、宝黔、宝済、宝晋、宝桂、宝川、宝鞏の19種を鋳銭
1726年 雍正4年 宝泉局四廠設置
雲南霑益局停止
1728年 雍正6年 宝鞏局を廃止
1731年 雍正9年 宝河、宝晋停止
1732年 雍正10年 宝川局廃止、四川成都府局開設
宝蘇局停止
1733年 雍正11年 雲南東川局開設
宝昌、宝浙、宝武、宝南局停止
一匁二分に改鋳
1734年 雍正12年 宝安局停止
1735年 雍正13年 東川局停止
乾隆通寳を鋳銭。戸部宝泉局、工部宝源局、直隷宝直局、陝西宝陝局、福建宝福局、浙江宝浙局、江蘇宝蘇局、湖北宝武局、江西宝昌局、広西宝桂局、広東宝広局、貴州宝黔局、雲南宝雲局、湖南宝南局、四川宝川局、山西宝晋局、山東宝済局、台湾宝台局、甘粛宝鞏局の19局で鋳銭
宝鞏局未見
宝鞏局蘭州に移設、程なく廃止
1738年 乾隆3年 宝泉局で祝鋳銭
雲南での鋳銭停止
山東宝済局鋳造停止
1740年 乾隆5年 京師の鋳局で青銭を鋳銭
1741年 乾隆6年 雲南東川府局再開
1742年 乾隆7年 広西宝桂局、江西宝昌開設
1755年 乾隆20年 宝伊局鋳銭
1764年 乾隆29年 雲南順寧府局開設
1786年? 宝台局廃止
1795年 乾隆60年 11月より戸部宝泉局、工部宝源局で乾隆通寳、嘉慶通宝を等分に鋳銭
1796年 嘉慶元年 4月より戸部宝泉局、工部宝源局で乾隆通寳2分、嘉慶通宝8分で鋳銭
1798年 嘉慶3年 雲南、貴州を始め楚、蜀の銭局で停鋳
1799年 嘉慶4年 4月より乾隆通寳の鋳造を止め、嘉慶通宝のみ鋳造
1820年 嘉慶25年 道光通宝を鋳銭。戸部宝泉局、工部宝源局、直隷宝直局、陝西宝陝局、福建宝福局、浙江宝浙局、江蘇宝蘇局、湖北宝武局、江西宝昌局、広西宝桂局、広東宝広局、貴州宝黔局、雲南宝雲局、湖南宝南局、四川宝川局、山西宝晋局、雲南宝東局、伊犂宝伊局、新彊阿克蘇局の19局で鋳銭
1850年
(1851年)
道光30年
(咸豊元年)
咸豊通寳、咸豊重寳、咸豊元寳鋳造
1853年 咸豊3年 福建宝福局当十、当二十、当五十、当百、当五百、当千を鋳造
太平天国
辛開元年
南京などで太平天国、天国聖宝など鋳造
大明国
天運元年
小刀会劉麗川太平通寳背明、開元通寳寳背武を鋳造
1854年 咸豊4年 戸工二局で鉄銭鋳造
京局で当五百、当千鋳造停止
陝西省局で当十から当千まで各種鋳造
直隷宝薊局で当十、当五十、当百鋳造
雲南宝雲局、宝東で咸豊重寳当十銭鋳造